2023日8月25日(金)朝6時に立川駅前に集合し、リーダーの男性1名と女性4名は長野県茅野市の唐沢鉱泉登山口を目指して出発。今夜宿泊の本沢温泉からは「このところ午後になると雨になるので気を付けておいでください」と注意を受けていたが、今日は何とかお天気は持つのではと期待をこめて車を進めた。今回のコースを説明する。唐沢鉱泉(標高1870)→黒百合平→すり鉢池西側を通るルートで東天狗岳(標高2646.3)→本沢温泉(標高2150)で宿泊→夏沢峠、箕冠山、根石岳を経由して東天狗岳→西天狗岳(標高2645.8)→第二展望台→第一展望台→唐沢鉱泉本沢温泉は日本一高所にある秘湯ということで、野天風呂の雲上の湯、内湯のコケモモの湯があり泉質が全く異なる。野天風呂は、硫化水素系の白濁した湯、内湯は湯の花がたっぷり沈んだ淡い黄褐色の湯。この温泉に加えて登山最後には唐沢鉱泉も味わおうという温泉三昧と北八ヶ岳の大パノラマと苔の森を楽しもうというちょっと欲張りな山行計画である。①登山開始〜黒百合平9時に唐沢鉱泉登山口を出発すると、ほどなく樹林帯が待ち受けていた。スティール製の網の橋を渡るとジブリのもののけ姫の世界に。まさに苔の世界だ。緑色だけでなく、丸でサンゴのような色とりどりの丈のある様々な苔に魅了される。私などはこれ見たさに、その後のゴロゴロ岩も我慢しようと参加を決めた口である。しかし急登ではないものの、しょっぱなからなだらかな坂というよりは石段を上がるような道が続き、黒百合平が近づくにつれてゴロゴロとした苔石を登る感じになってくる。メンバーのひとりは、黒百合ヒュッテまでが結構きつかったとのこと。黒百合平での昼は、ヒュッテの名物ビーフシチューを楽しみにしていたのだが、7月から人手不足でランチ営業中止というのを知り、それぞれ持参の弁当を食べる。②黒百合平〜東天狗岳昼食後、景色の良さを期待して岩場の厳しいすり鉢池西側のルートを東天狗岳へ。約2名を除き、岩場の苦手な3人は四苦八苦しながらよじ登ることになった。この時点で結構な疲労感を感じたのだが頂上から見渡せる360度パノラマはまさに絶景で、あとは温泉温泉と気を緩める私。ところが・・・ ③分岐〜本沢温泉東天狗岳を下り西天狗岳、根石岳、本沢温泉の分岐の標識に来た。14時半くらいである。根石岳から数名の若者たちが下りてくるのに出会い、彼らも本沢温泉で泊まるらしい。先に行ってもらい、ワイワイと賑やかな声は次第に遠のいて行った。本沢温泉までのルートは、相当な悪路で例の3人にはとても歩きづらく、そして想像以上に長い。かなり、ヘトヘトになってきたがまだ到着まで半分も到達できてないと、穏やかなリーダーも歩みののろい私たちにやや閉口気味。私などは軽い吐気までしてくる有様。途中、本沢温泉まで30分との標識を見ても信じられず。ということは、私たちだと50分くらい?などと完全に失望感と疲労困憊の状態でようやく16時過ぎに本沢温泉に到着。予定より1時間以上遅くなっている。さっきの若者たちは元気そうにすでに30分以上前には到着していた模様。夕食まであと1時間半を切っている。野天風呂までは登山靴を履いて約10分歩くとのことで、今を逃すと日没になるため明朝まで入れない。結局、野天風呂まで行ったのはリーダーとM子さんのみ。私などは疲れ過ぎて内湯に行くことさえままならず、しばらく部屋で横になるというていたらくで、夕食ぎりぎりに何とか内湯のコケモモの湯に浸かることができた次第。しかし、あまりの疲労で夕食がまともに食べられない。普段、年の割に大食いの自分史上多分初めてのことなのではなかろうか。他のメンバーは皆元気になってビールを飲みながら、ご飯をもりもり食べていた。そして、1日目は終わり2日目を迎えた。睡眠によって前日の疲労はなくなり、早朝に野天風呂まで行ってみる。白濁した雲上の湯に足を浸し、朝の空気の中でしばし佇む。朝食はおかわりまでして、夕べの分まで取り返す。 ④本沢温泉〜東天狗岳6時半に宿を出発。思いの外、私たちの足が遅いのと天候の崩れを鑑みて予定より1時間半早く出ることに。悪夢のような昨日のルートと打って変わり、平和な道を夏沢峠方面に向けて歩き出す。傾斜は緩やかで踏み高の高い所もなく夢のよう。夏沢峠から箕冠山(ミカブリヤマ)、根石岳と進んだ所で左手に根石岳山荘が見え、立ち寄ってトイレを借りる。何と水洗式のきれいなもので使用料も200円。カレーを食べられる食堂もあった。そこから東天狗岳への道にコマクサが咲いていた。昨日、若者たちと出会った分岐の所から再び東天狗岳へ登り、西天狗岳へ向かう。最初はなだらかなザレ場でだんだん大きな岩場に。ザレ場をズルズル歩くよりは、しっかり足の着く岩場の方がリズミカルにトントンと進むので易しい所であれば確かに歩きやすい。岩場が得意のMさんは、難度の高い所でもトントンと跳び跳ねるように上り下りができる。ある時、その面白さに気付いたそうだが、運動音痴には中々それを体得できず。西天狗岳山頂は広く東天狗岳のそれとは趣きが違いゴツゴツ感がなかった。周囲は雲がかかり、眺望は昨日のようなわけには行かなかったが雨はまだ大丈夫そう。⑤西天狗岳〜第一展望台〜唐沢鉱泉西天狗岳の西側に小高い山が見える。これから下りとはいえ、まだ第二展望台、第一展望台と緩やかなアップダウンが続く。第二展望台で昼タイム。リーダー、Mさん、私は宿で作って貰った弁当を、KさんとM子さんは持参のパンを食べた。宿の弁当のおかずは、揚餃子、魚のフライがメインで美味しかった。下りも大きな岩を手をついて下りるところが結構あり、ストックが邪魔になる場面が多く緊張が続いた。そういう時もMさんがストックを預かってくれ、片手でヒョイヒョイと身軽に足を運んでいた。13時半頃、遠くで雷の音がして雨が降り始めた。ほどなく、雨足が強くなってきたので雨具を身に着けた。が、樹林帯に入ったこともありびしょ濡れになるほどではなく、歩いているうちに雨も上がった。かなり下ったところで流れる川の岩場を渡る場面があったが、雨に濡れた苔の岩の上を歩くのは足がすくんでしまった。どの岩に足を運べばいいのかわからないでいると、リーダーが無言で岩を指差し、ここへ足を運べと教えてくれて助かった。ここまで来て滑ってびしょ濡れになったあげく捻挫でもしたら悲しすぎる。最後の最後まで緊張の連続ではあったけれど、昨日のような限界を感じるほどの疲れ方ではなかった。樹林帯から下界の明るさが見えてくると嬉しくなり、控えめに歓声を上げた。唐沢鉱泉駐車場に到着したのは14時半。唐沢鉱泉の立ち寄り客が風呂に入れるのは15時までとある。朝6時半に出発し休憩込み8時間のややゆっくりタイムの山行は終了。そそくさと風呂の準備をして、ギリギリ唐沢鉱泉に浸かることができた。透明の湯に大きな湯の花が浮いていて、冷水泉もあった。交互に浸かり、身体を洗ってさっぱりできた。例の3人にはちょっとキツい山行ではあったけれど、無事に盛り沢山の楽しみを満喫できて、天気にもほぼ恵まれ、幸せな時を過ごすことができた。この山行を計画してくれたリーダー夫妻に心から感謝する。 (さかい記)
★今回の山行は、まず秘湯の湯”本沢温泉”に泊まりたいと言うことで、その為にはどんなコースがあるのかいろいれ調べた結果のコースです。計画段階で1本の動画を見て黒百合平までの神秘的な苔の道に心を惹かれ、唐沢鉱泉から東天狗岳へは西尾根を使わず黒百合ヒュッテから天狗岳の裏庭を通る道で計画しました。このコースは北八ヶ岳特有の大きな岩がゴロゴロの道で歩き辛く、コースタイムをだいぶオーバーしてしまいました。黒百合ヒュッテの名物ビーフシチューを食べたいと思っていましたが残念なことに人不足の為、休業中とのことでした。東天狗岳から本沢温泉までの道は少しマイナーなコースであったため1組の若者パーティとしか合わず予想以上に時間がかかりました。1日目の工程は想像以上に岩が多く大変な思いをしながら皆んな頑張って歩いたと思います。なんだかんだいいながらも予定時刻を1時間遅れて到着できました。到着後、野天風呂や内風呂に入る時間もあり、寛ぐ時間も取れました。野天風呂は日本で一番標高の高い場所にあり景色も良く気分爽快でした。ただ、残念なことは男女混浴であり、4人程度しか入れないため、ゆっくりできなかっことです。夕食は可もなく不可もなくと言ったところかな。疲れた体にビールは最高!約1時間おしゃべりをして各部屋へ、あまりにも疲れていたのでいつの間にかぐっすり眠っていました。部屋は新館の2階個室でとても綺麗で落ち着ける部屋でした。ただ難点はトイレまでに3階分くらいの階段を登り降りをしなければならず、夜中に4回もトイレに行った私は部屋に戻るたびに息切れしていました。2日目は朝食が5時半からだったので早起きして各自お風呂を楽しんでいました。午後から雨の予報もあるため予定より1時間半前に出発しました。本沢温泉から夏沢峠までの約1時間は比較的歩きやすい路でした。夏沢峠から箕冠山、根石岳までの稜線は爽快な気分で歩くことができました。箕冠山手前の開けた場所から見える根石岳、東天狗岳、西天狗岳は壮観でした。根石岳から東天狗岳への登りは今回一番の岩登り、コースタイムの2倍以上の時間をかけてなんとか登りきりました。東天狗岳からは人も多く何度も譲り合いながら西天狗岳へ。さあこれからは下りなので大変なところはないとたかを括っていたが大きな岩の下りがもっと苦手な数人のメンバーがいることを忘れていた。それでも唐沢鉱泉の立ち寄り湯の終了前に到着でき汗を流すことができて良かった。唐沢鉱泉は泉質が良いのか温泉に浸かった後は不思議と疲れは消えていた。また入ってみたい温泉リストに入れておこう。(s記)
✱話題になったこと、考えたこと。私は、必要だと思った物を詰めて8キロ以上だったと思います。泊まりの時はしょうがないのかなと思っていましたが、Mさんの軽量なのを見て、そして、私たちの年齢になったら重い物を持たなくてもというアドバイスを聞いて、そうか、軽くする工夫をするべきだなと反省しました。岩がゴロゴロの登りを荷物の重さに慣れず体が揺れました。2日目は多少重さに慣れてリュックとだいぶ仲良く一体化しましたが。それから苦手な岩場を克服すべきか諦めるべきか、考えました。見た目は優しそうだけれど、意地悪なリーダーは、センスの問題だからと冷たく言います。怖い思いはしたくない、でも行ける場所が狭まるなあと、今私の中では課題だなあと思っています。 それでも、根石岳、東天狗、西天狗と縦走できて、2日ともみんな頑張りました。だからきっと、帰りに、元気な鹿が三匹現れ、虹が出て空が微笑んでくれました。(昌子記)
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